飛騨高山 さんぽ道飛騨高山さんぽ道

猫石

5-jinya1.jpg  高山の中央を流れる宮川の中橋詰めに高山陣屋があります。
そこは飛騨国主金森氏の向かい屋敷として建てられ、金森氏が徳川幕府によって出羽の国へ移封されてから、江戸幕府の代官が派遣されるようになり、代官所と呼ばれていました。
明治維新までの約180年間、そこに勤める代官・郡代を飛騨びとは殿様と呼んでいました。 

 ある時、殿様の娘が猫を大変かわいがっていました。
どこへ行くにも娘は猫を連れていき、猫も娘のそばを離れようとしませんでした。
ある日娘が裏庭に出て池の鯉を眺めていると、猫がしきりと娘にまといつき、娘の袂や裾をくわえて引っ張り、叱っても叱ってもやめようとせず、それどころか益々激しく娘にからんでいくので、このままでは娘に危害が及ぶと思ったお供の者が、一刀のもとに猫の首を打ち落としました。
すると切られた首は、飛び上がって頭上の松の大木に巻きついて娘を狙っていた大蛇の首に噛みつき、大蛇もろともドスリと落ちてきました。

この時初めて、猫が娘を守るためその場から 離れさせようとしていたことを知りました。 命にかけて娘を守ってくれた猫のために、庭の隅にねんごろに埋め墓じるしとして石を置きました。これが、現在も陣屋の裏通りに廻ると見ることができる猫石です。